名残惜しい気持ちをおさえて、サンセバスティアン行きのバス停へ向かいます。
はじめて利用したエレベーター。
パラドールは高台にあるので、重いスーツケースを持って坂道を上ったり下りたりする必要がないから便利ですね。
定刻より少し遅れてバスが到着。
そういうこともあるかと思い、30分くらい余裕をみてスケジュールを組んでいました。
ところが、バスがなかなか出発しないのです。
10:04発予定が10:10に到着し、出発したのは10:15。
オンダリビアからサンセバスティアンまでの所要時間は約30分で、サンセバスティアンからビルバオ空港行きのバスは11:00に発車予定です。
ということは、予定通りサンセバスティアンに到着したとしても移動時間が15分しかありません。
海外のバスは日本と違って親切に「次は◯◯に停まります」というようなアナウンスをしないため、バス停は自分で確認して降りる必要があります。
利用したこともないバス停で降りるのはかなりハードルが高く、もし間違いでもしたら次のバスに乗り遅れること必須です。
降りるバス停を絶対に間違えてはいけない、とGoogleマップで現在地を確認しながら心臓がどきどきしていました。
幸い渋滞もなく、予定通り30分でサンセバスティアンに到着しました。
降りるバス停も完璧。
次のバス乗り場まで走って向かいます。
間に合った…!
私と同じビルバオ空港行きのバスに乗るらしき人達がたくさん並んでいました。
バスの下の荷物入れに自分でスーツケースを入れて、運転士にバウチャーを見せます。
何も言われなかったということは、このバスで合ってるということだよね?
前回乗るバスを間違えたトラウマから恐怖心が拭えないのです。
とりあえず乗っちゃえ。
もし間違えたとしても何とかなる。
だいぶ神経が図太くなってきた私。
無事ビルバオ空港に到着しました。
荷物を預けて搭乗手続き完了。
でもこれで安心するわけにはいかなかったのです。
Vueling Airlinesでシャルル・ド・ゴール空港まで1時間40分。
最初のうちは軽く睡眠をとったりして寛ぐ余裕もあったのですが…。
胸騒ぎがするのです。
さっき荷物を預けたとき、ビルバオ空港のスペイン人女性スタッフに言われた言葉を思い出したから。
そういえばあのとき「シャルル・ド・ゴール乗り換えですね」と言われたと思って「YES」と答えてしまったけれど、実は「シャルル・ド・ゴールまでですね」と言っていたのかもしれない…。
それって、荷物はシャルル・ド・ゴールまでしか行かないってことじゃない?
ちゃんと確認するべきだった。
よく考えず曖昧に「YES」と答えてしまうのは私の悪い癖です。
不安になり、荷物引換証を確認すると、やはりシャルル・ド・ゴール行きになっています。
羽田からビルバオに行ったときの荷物引換証を確認してみました。
シャルル・ド・ゴール乗り換えだったけど、やっぱりビルバオ行きって書いてある。
どうしよう。
どうすればいい⁈
とりあえず、空港に到着したら聞いてみよう。
シャルル・ド・ゴール空港のターミナル3はとても小さく閑散としていて、何人かのスタッフがいましたが、その中でも忙しくなさそうな黒人スタッフに勇気を出して声を掛けてみました。
荷物引換証と搭乗券を見せると、あなたはここで荷物を受け取る必要がある。と言われました。
嫌な予感的中です。
呆然と立ち尽くす私。
どうやって乗り継ぎをすれば…⁈
すると、ここで荷物を受け取ったらシャトルバスでターミナル2Eに行ってまた荷物を預ければよい、と言うのです。
そしてオロオロしている私に「アナタノ ニモツハ ココカラデテキマスヨ」と親切に日本語で教えてくれました。
おかげでスーツケースはすぐに見つかり、次のターミナルに向かうことができました。
さらにターミナル2Eへの移動がかなり難易度高め。
行きはクリアできたから帰りも大丈夫だろう、と考えていた私は甘かったです。
まずターミナル2に行くには今いる建物から1度出て、次の建物まで延々と外を歩く必要があります。
晴れていたからよかったものの、雨が降っていたらたまったものじゃありません。
そしてやっと次の建物に着いたと思ったら、今度はシャトルバスに乗ってターミナル2に移動し、それからEへ向かうのです。
本当にこれで合っているのだろうかとヒヤヒヤしっぱなしでした。
なんとかJALのカウンターにたどり着き、スーツケースを預けたら、なんだか不穏な空気。
預ける荷物はこれだけですか?と。
そうです、ひとつだけですと答えると、ビルバオから羽田まで直通で預けている荷物があるはずだ、と外国人の男性スタッフが2人で首を傾げています。
日本人の女性スタッフが呼ばれてきました。
「直通だと思っていたら、シャルル・ド・ゴールで受け取ることになってしまったんです」と事情を説明すると、即座に理解してくれて事なきを得ました。
日本人スタッフがいるってありがたいなぁ。
JALにして本当によかった。
グッジョブ、私。
そもそも私がちゃんと確認もせずに返事をしてしまったことが原因なんですけどね。
もしもあのとき胸騒ぎがしなかったら。
空港で親切な黒人スタッフに勇気を出して声を掛けていなかったら。
今頃私のスーツケースは乗り換えできずにシャルル・ド・ゴール空港へぽつんと取り残されていたことでしょう。
なんだかんだ、私は悪運がつよいのだと思います。